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日記とか気晴らしの類。 地雷系(TS)ばかりかもしれません……。 ひっそりこっそり、かな。
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もう四月一日が終わってしまったのですが。どうやら、いろんな嘘ネタがあったようで。
朝は日記を書く程度で結局見れなかったです、はい。

今日、も、ネタがないので今書いてる棒掲示板第38話の没を載せます。
まだ、完成してなくてごめんなさい。

+ + + + + + + + + +

 


 それは、あまりに早い決着だった。
 現れた敵サーヴァントは、今まで幾多の英雄を阻んできたアサシンを容易く屠り、それを迎え撃った一組の主従も死に瀕しようとしている。情けも容赦もない剣の舞。
 鍛え上げられてきた主の腕は、無残にも引き裂かれ、それを守ろうとした従者の身体も、無事とは言いがたい。
 それでも、生を望んだ―――、水沫の雫に等しき時を守ろうとした従者は、両手に輝く印に、異なる命を告げた。
 服従と召喚。
 絶対の格上と戦うための最大戦力。それを投入することにためらいはない。
 未だ柳洞寺に溜め込んだ魔力の海は健在だ。だが、それを受け入れる皿としての自分は、たいして機能していない。
 もっとも、身体が満足だろうが戦力にはなりはしない。そのことは理解していたが。

 幾多の剣を操る男。正体不明敵サーヴァントは、その意図を理解しているにも拘らず、それを見逃そうというらしい。
 その絶対的な不遜、傲岸さをありがたく思いながら、それの到着を待った。

 それは一秒とかからなかっただろう。
 一人は、自身の目の前に、もう一人は見えてはいないが、自身の後方に。

 目の前に表れた紅い騎士は、状況を即座に理解すると、その鷹の目をいっそう鋭くしたが、仕掛けるようなことはせず、沈黙を守っている。それに対して、後方、柳洞寺のある場所から飛び出してきた、青い騎士はその瞳に偽りの光を宿しながらも、猪突猛進、全速を持って正体不明のサーヴァントとの間合いを詰めた。

「ちっ」

 正体不明のサーヴァントは、この場所に来て初めて表情から笑みを消すと、忌々しそうに、キャスターに下っている、セイバーとアーチャーを見据える。その目には面白くないと、その苛立ちを隠そうともしていない。

 とにかく、二人で掛かれば、いかに敵が強大であろうと時間くらいは稼げると判断したキャスターは、未だ癒えぬ自身よりも、腕を負傷しているマスターの治療に専念することにした。
 マスターの傷は腕だけだったが、何か呪いでも剣に込められていたのか、意識は既にない。
 死にかかわるほどの傷ではない。だが、このまま血を流し続ければ、キャスターにとっては好ましいことではない。
 人間はあまりに脆く、簡単に死んでしまう。
 そうなるわけにはどうしてもいかなかった。

 

 キャスターによって操られたセイバーが間合いを詰め、一刀両断とばかりに手の聖剣を振り下ろした。
 その挙動に、内心舌打ちをする。
 どうやら、令呪による無理な制御をしたためか、セイバーに自意識はないらしい。
 たしかに素晴らしいと形容するほかない一刀だが、それだけだ。
 それだけでは、目の前の英雄王に勝てるわけがない。

 予想通り、英雄王の眼前に現れた数本の剣により、セイバーの剣は阻まれる。
 だが、その結果に頓着せず、セイバーは次こそは敵を両断せんと、猛烈極まりない剣戟を開始した。

 英雄王の顔に笑みはない。
 何に対してなのかは窺い知れないが、どうやら不機嫌の様相。
 しかし、どうやら戦う気が、敵意がないように見える。
 ただただ、セイバーの剣を防ぐだけで、攻撃しようとする意思が見えない。
 放っておけば、勝手に引いてくれそうな気配だ。
 だが、キャスターはマスターの回復に神経を集中し、セイバーを引かせるつもりはないらしい。
 それどころか、セイバーは敵の判別すらできていないように思う。
 ただ、目の前の存在を倒せと、機械のように命令を遂行するだけだ。

 しかし、キャスター自身が満身創痍なために、葛木の受けた呪いを打ち消すほどの魔術を行使するだけの身体がない。
 僅かな移動すら出来ぬ彼女では、ギルガメッシュが攻勢に出た際、避けることも防ぐことも出来ない。


 キャスターが縛りになっているとはいえ、英雄王が厄介な存在であることに違いはない。
 自分の力の性質から、他の英霊と比べて勝利する可能性が格段に高いとしても、それは絶対のものではない。
 むしろ、間違えば容易く踏み外す程度のものだ。

 自己に埋没し、丘から剣を引っ張り出す。
 英雄王が守りに専念すれば、それは鉄壁といっても過言ではない。
 数多の財を誇る英雄王は、宝具の持ち主であり、担い手ではないということが弱点となりうる可能性を持っている。
 だが、敵を討つ宝具ではなく、自身を護る宝具を使うなれば―――奴を倒すことは不可能かもしれない。
 攻防完全に両立することは難しい。英雄王が圧倒的な攻撃力を持っていようと、そこにはまだ、付け入る隙がある。
 だが、完全に護りに入った英雄王を、討ち取る自信はアーチャーには湧き上がらなかった。
 敵の宝具を見てから複製する。そんな常に後手に回りながらもそれを上回る戦いでしか勝利できない。
 それを英雄王が見せぬ以上、アーチャーの奥の手も、天敵とはなりえないのだから。

「――――」

 常たれば、それは裂ぱくの気合と共に放たれたであろう、彗星の如き一撃。
 大岩を断ち、鎧ごと両断せんと、セイバーの剣が連続で放たれる。
 表情はなく、ただ苛烈さ極まる連撃は英雄王を交代させ、体勢を崩す。
 それを好機ととったか、連撃の際に生まれた回転を利用して、唯一鎧に護られてない頭部へと強烈な一撃を放つ。
 だが、それもやはり英雄王の背後から現れた無数の凶器に妨げられた。
 ただ、目の前の好機に喰らいつき、二の太刀など要らずと放った一撃を、あっさりと防がれたセイバーは身体を泳がせる。
 その際の隙を埋めるように、アーチャーは矢を間断なく射る。
 それも、ことごとくセイバーと同じように数多の刃に防がれるが、その間にセイバーの体勢も戻っている。
 あとはそれの焼き直し。
 同じようにセイバーは剣で英雄王を追い詰め、必殺の一撃を結局は防がれる。

「ちぃ、うっとうしい!!」

 セイバーの動きに停滞はない。
 倒されるなどと微塵にも思わない、戦えば勝つと判りきっている英雄王に疲労などない。
 だが、セイバーにしても、恐怖も緊張も感じる意思はなかった。
 それ故に、繰り返される。幾度も、幾度も。

 なればこそ、英雄王は我慢できるものではなかったらしい。
 セイバーを前にして初めて、背後の蔵から、柄ではなく刃の方を出現させた。

「くだらぬ人形と成り果てた、貴様に用はない」

 ギルガメッシュは、セイバーと相対して初めて、敵意らしい敵意を発する。
 もはや、殺すことすら彼にとっては許しがたいものだった。
 手を下すことすら、穢れる。

「殺しはせん」

 ギルガメッシュにとって、他の所有物と成り下がったモノに興味はない。
 それでも、僅かばかりの躊躇を覚えたのは確かだった。
 だが、それが完全に失望へと変わるのに時間はかからなかっただけ。目の前のモノに何が残っている。
 まさしく、目の前のそれは無様の一言。我が欲しいと、渇望した姿がどこにある!
 かつて、執着を持ったとはいえ、それへの憐憫も既に尽きた。
 忌々しいだけのものならば、消すことに頓着はない。
 むしろ、憎悪に変わった分だけ、先ほどから鬱陶しい贋作者よりも、認められぬものだった。

 都合百に届こうかという圧倒的な宝具の魔弾。
 その出現にアーチャーは舌打ちをする。あまりの数のため、範囲はセイバーに止まらず、アーチャー、そしてキャスターすらもその内に入れている。
 だが、アーチャーの戦慄も、キャスターの無関心もギルガメッシュの視界には入らない。
 その瞳が睨むのは、セイバーだけだった。

「――――!?」

 そのニ割は、アーチャーによって放たれた贋作によって相殺された。
 だが、残り八割。
 それは瀑布となってセイバーを、アーチャーを、そして動かぬキャスター等を襲う。
 セイバーはその身に許された全速を持って、宝具の雨から離脱を試み、手の剣で宝具を散らす。
 アーチャーは相殺と同時に、烈風と化し、キャスターの場所へと移動した。

 大地を穿つ、揺らす、轟音が響く。
 砕かれた大地は砂塵を巻き上げ、全ての視界を覆い隠した。


 セイバーは幾多の宝具に鎧を穿たれ、砕かれ、血の海に伏している。
 アーチャーは今にも砕け散りそうな花の盾を構えたまま、防御を越えた刃により、身体を射抜かれている。
 だが、それによりキャスターらの身体は無事だった。

「ふん」

 ギルガメッシュは、それを確認すると此処には用はないと背を向けた瞬間。
 鎧の軋む音によって、それを中断した。

 聖剣を杖にしてセイバーが立ち上がる。
 その瞳は未だ、真実の光を宿してはなく、血まみれだというのに無表情だ。
 まるで、痛みも恐怖もないかのようにただ、立ち上がる。
 魔力の受け皿たるキャスターの身が不完全であろうと、通り道であれば良かったのか。
 セイバーの身体は瞬く間に修復されていった。

 それに舌打ちをするとギルガメッシュはセイバーを見据える。
 もはや、満足に戦える身ではないようだが、鬱陶しいことに変わりない。未だ存在する魔力の海も。
 彼のみが持ち得る、最大最高の宝具によって、目の前のモノを砕くかと思案した瞬間。
 新たに現れた存在を感知する。

 そのことに笑みを浮かべ、ギルガメッシュは先に意図していたものとは、異なる宝具を取り出した。

 中空から現れる幾多もの鎖の束。それは、真っ直ぐに柳洞寺と下界をつなぐ階段へと走り。
 そこから現れた蒼い影を、幾重にも複雑に絡めとった。

「んなっ――――!?」

「ちょうどいい。ランサー、貴様が相手をせよ」

 そう言葉を紡ぎ、ランサーは何故自分がこうも容易く捕らえられたのか。どうして、鎖から抜き出すことだ出来ぬのか。
 何故、自分を捕らえた男が自分を知っているのか。その疑問を浮かべる暇もなく、セイバーの眼前へと放り投げられた。

「ちっ―――」

 そこはさすがランサーというべきか。放り出された瞬間体勢を立て直し、自分を放り投げた相手の方を向きながら着地した。だが。

「―――あ?」

 背後より放たれた剣閃を慌てて自慢の槍で受け止める。

 その間にギルガメッシュは悠々と階段に辿り着き、背後を振り返ることなく山門を通った。
 その際にランサーに遅れてやってきた、二人の人間に関心を向けることなく。


「なっ!?」

 山門を遠坂と駆け上がった衛宮士郎は、その光景に絶句した。
 その際に階段を降りていった―――明らかにサーヴァントと思われる黄金の騎士に疑問はあったが。

 目の前ではランサーとセイバーが戦っている。
 セイバーはバーサーカーもかくやという暴風めいた斬撃を繰り返す。
 それをランサーは、今まで見たどれよりも速く、裁き、抗戦していた。

 セイバーの力に圧倒される。自分の契約が不完全でセイバーが力を出し切れぬ身であることは知っていた。
 だが、実際に目の当たりにしてみると、ただただ圧倒される。
 これがアーチャーをして敵わないと言わしめたセイバーの実力。だが―――

「なんだ、セイバー。その様は」

 ランサーが冷たくセイバーに声をかけた。
 セイバーから一瞬の隙に離脱して呆れたような口調で言う。

「それなら、バーサーカーの方がましだったぜ」

 だが、セイバーは答えず、ランサーに向けてただ一直線に疾走した。

「せっかく、こっちが全力で戦えるっていうのによ―――」

 ランサーの払いで、セイバーが体勢を崩す。

「肝心の相手が全力で戦えねえなんてな」

 そこから、視認など出来るはずもない突きが幾多も繰り出される。


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